鬼と人と 堺屋太一

鬼と人と―信長と光秀 (上巻) (PHP文庫)

鬼と人と―信長と光秀 (上巻) (PHP文庫)

 

鬼と人と―信長と光秀 (下巻) (PHP文庫)

鬼と人と―信長と光秀 (下巻) (PHP文庫)


鬼と人と 堺屋太一 PHP出版


元通産官僚・作家・評論家で元経済企画庁長官でもある堺屋太一さんの実験作。
武田勝頼の首実験から本能寺まで、織田信長明智光秀がそれぞれ独白を繰り返します。二人が同じ事象に対してまったく正反対の感想を持ったり、違う考えを抱いたりします。

 堺屋版信長は結構いいことを考えているし、案外部下のことも思いやっているつもりなのですが、光秀には理解不能・冷酷な主人です。でも、思ったことをいうと殴られるので光秀はグッとガマンの毎日です。

 国盗り物語でも思いましたが、この二人の関係は面白い。

信長は自分では間違った世の中に突っ込んでいるつもりですが、実は結構ずれている。ぼけ突っ込みなのです。そこで、光秀がボソボソ突っ込むので、怒られる。業を煮やした光秀は「本能寺の変」という強硬な「突っ込み」を敢行しますが、ツッコミはボケをを滅ぼしてはいけないのではないかな?
なんて、未来の凡人が偉そうなこといってすみません!