集中講義 織田信長

集中講義織田信長 (新潮文庫 (お-70-1))

集中講義織田信長 (新潮文庫 (お-70-1))

 戦国大名研究の第一人者小和田哲男氏の、織田信長 総まとめ本。
文庫本で、安い。信長のことをバランスよくまとめてあるので、信長初心者には、最適な本です。
(この本は、一度平成15年に「信長 徹底分析十七条」としてKTC中央出版から出版されています)


 ・織田信長は代々津島湊や伊勢湾船運を支配し、船に関税を課し、莫大な収入をあげていた。
 ・戦国時代の常識にさからい、道路をまっすぐにし、バイパスまで作っていた。
 ・対武田信玄への外交戦略にも情報収集、情報操作を重視した。
 ・那古野城-清洲城-小牧山城-岐阜城-安土城、と城を次々と変え、武士を土地から切りはなしていった。
 ・織田軍は兵は弱いが、信長自身のアイデアと抜群のスピードと機動力で勝利をおさめた。
 ・能力本位の人材登用で、部下で一番に「一国一城の主」になったのは明智光秀、次に羽柴秀吉だった。

 などなど、信長理解の「基本」を知ることができます。

また織田信長研究も日々研究が進み、以前のイメージとは違うことが分かってきたようです。

たとえば、「比叡山焼き討ち」。
従来は全山の堂塔が焼かれたとされていましたが、発掘調査により、山上までは火をかけていなかった。浅井・朝倉軍が拠点とした山王社本殿のあるあたりを集中的に焼いたようです。小和田氏はこれは、「仏教弾圧」ではなく、浅い・朝倉軍の軍事拠点とての比叡山除去と僧侶の俗権廃止を狙ったものだと解説しています。