安土幻想

安土幻想―信長謀殺

安土幻想―信長謀殺


 安土幻想


 この本の信長はなかなかの人格者です。キリスト教に大いに親しみをもってオルガンチノやワリニャーノたちと交際する姿は実に紳士的。また天皇制など伝統への尊敬の念もあります。理想を実現していく力があり、人間への深い洞察があり、理想的なリーダーです。私は、この信長は脳内配役:渡辺謙、相手役の勾当内侍は脳内配役:小雪さんで読み進みました。二人の仲は・・・というとここでは秘密にしておきますが、なかなか可愛らしい信長公に出会うことができます。

 この小説の一番の見所は、物語ではなく、歴史的事象の解釈部分であると思います。
最新の歴史学の新発見・新解釈を取り入れ、しかもどこまでも信長に好意的に解釈しながら、天正三年から本能寺の変までを追いかけていきます。家康の息子信康切腹事件など、信長の「非情の証明」とされる事件についても、この本では「家康の為、信長が悪役をかってでた」ということになっており、そういわれればその説にも無理はありません。

 信長*光秀*X=本能寺の変

 この方程式のエックスに何を入れるか?これによっていくらでもストーリーが作れます。
このストーリーでは、エックスに何が挿入されたのか?ぜひ読んでみてください。