信長の親衛隊  戦国覇者の多彩な人材

信長の親衛隊―戦国覇者の多彩な人材 (中公新書)

信長の親衛隊―戦国覇者の多彩な人材 (中公新書)

 


戦国覇者の多彩な人材 中公新書 谷口克広

 

 この本で谷口克広氏は信長の近臣・近習たちに光を当てています。
信長という人は固定した組織を作らず、人材を流動的な状態においておき、たえずその中から最適な人材を抜擢していったそうです。最初はどんなに身分が低くても、才能さえあればどこまででも抜擢していった。秀吉もその一人だそうです。

 その組織論は、松岡正剛氏の「千夜千冊」でも取り上げられています。

http://www.isis.ne.jp/mnn/senya/senya0455.html

 このようなダイナミックな組織は「カリスマ」にしか作れない、と松岡氏は書いています。



 そんな近習達の中でも印象に残ったのが、前田利家。信長の小姓から馬廻の一員になった22歳のとき、拾阿弥という人を殺し、信長に勘当される。その後前田利家桶狭間の戦いに密かに参加し、3つの首をとって帰参を願う。だが信長は許さない。その一年後、有名な豪将を討ち取り、ようやく帰参が許されたという。なかなか健気ではありませんか・・・。

 他にも一般に知られていない様々な近臣が登場して、とても興味深い。本能寺の変で信長とともに討ち死にした者、その時他の場所にいたのに本能寺や信忠のいた二条城にわざわざ駆けつけ明智軍に殺された者。うまく生き残って秀吉に重用された者。歴史の流れの中で懸命に生きた近習達に焦点を当てると、彼等もまた歴史の大きな作り手だったのだと感じざるおえません。